ココロはいつも休暇中



夏の話のような...。

f0108825_20541484.jpg結局、新刊が出れば必ず読むことになる堀江敏幸氏の本。
いつも私は何に惹かれているんだろうか...と、思いながら読む。

魅力は、街の描写にあるのだろうか。
取り立てて事件も何も起こらない日常的な普通の街。そこは都会とは少し離れたどこにでもありそうな静かな場所で、もちろん観光地でもない。
父母と子ども二人...みたいな家族を標準とするならば、登場人物は、どこか欠けた不安定な家族。
母と息子、祖父母と孫、伯父夫婦と甥...のような。
しかし、彼らはそのことを憂うこともなく淡々と自分の役割を生きている。あまり大胆にはみ出ることもなく...。
そして、「物語」そのものも特に他人は知られなくてもいいような静かな出来事だったりもする。つまりけしてドラマチックではなく...。

しかし、気づけば、私は、じっと息をころすように、その「物語」を読んでいる。自分の息遣いに時々驚かされるほどに集中しているときすらもある。

私は、こうゆう「物語」が好きなのかもしれない。

仮に「それはどんな物語なの?」と問われたとして、上手く魅力を説明できないほどに普通の話で、しかし、いつまでも残るこの読後感は何なんだろう。
別次元に住むもうひとりの自分のある日...を覗きみているかのような慕わしい感じとでも言おうか...。いっけんシンプルに見せかけて、いつも味わいは深い。

はっきり言ってしまうことがあるとすれば、この物語の季節はたぶん夏ではないか。
「未見坂」に収められた9篇の短篇は、特にどれも夏休みの夕暮れ時のような、ぼんやりとけだるい感じを纏っていて懐かしい。
もし問われたら、ぼんやりとした夏が待ち遠しくなる話とでも応えておこうか。

そうしてぼんやり物語の世界をただよっていると、「ずっと町に住んでりゃ肝心なことをわすれちまうもんだ...」などと、突然、強い言葉で叱咤された。
そして、「心配することと用心することは、似ているようで違う。心配ってのは、用心しない者が口にする言い訳だ」などと、教えを請う。

そうゆう侮れない強い真実が時々ふっと顔を出す。

だから、何か見落としたかもしれないと、読了してもまた何回も何回も読み返すはめになる。何もない普通の話こそあなどれない。この作家の本は、いつもそうなのだ。
[PR]
by tao1007 | 2008-12-24 20:41 | 読書する
<< 来年の準備 快気祝い >>


カラダもココロも休暇中
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリ
お気に入りブログ
以前の記事
メモ帳
最新のトラックバック
大鳥信仰
from いかさま堺
コムデギャルソン財布
from 財布専科【ブランド財布 長財..
1月24日の朝ご飯(おでん)
from 【ブログ-24日】我が家の朝..
紅白歌合戦 出場歌手が決定!
from 紅白歌合戦 出場歌手
園芸少年 魚住直子
from 粋な提案
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧