平安寿子さんは好きな作家で、新刊が出たら必ず読んでるひとり。
なのに、私としたことが、今年3月末に発行されたらしいこの本のこと、いやー全然知りませんでした。
でも、けっこうあしげく通っていた、本屋でもみなかったような気もするのよね~何故?
この本は、台東区の図書館の新刊コーナーにポツンとあって、「バリバリの新刊なのに、何故借り出されもせずに棚にある?」とも思いながらも、とりあえず借り出したもの。
結局、まずは図書館で借り出すのがマイ・ルールなわけだし、まっいいか。
物語の主人公は、人生ちょっとだけ壁に突き当たった独身OL33歳。ひょんなことから、素人落語をはじめ、いやいややっていたのに、いつしかのめりこみ...というお話で、「落語」世界のひとびとの暮らしに寄り添い、彼女自身が、少しだけ救われてゆく...という落ちがつく。
好きな作家の平さんも落語を好きだったのね~というのがまず嬉しいね。
しかも、その落語知識が、けっこう深く、主人公のプチ救済の物語を楽しんでいるうち、ひとつの噺を巡る稀代の名人噺家たちの解釈の違いまで詳しくなりそうな...かなりお得な物語。
江戸の長屋に暮らす、欠点だらけ愛すべきひとびと。彼らが、変に一生懸命なのが、ほほえましくておかしくて、「どんなことでも見方を変えれば笑い話」。
...「あはは」と笑いながら、そんな人生勉強もできてしまう、日本の庶民文化の面白さ。
またもしっかり堪能させていただきました。
ああ、「落語」はなんと賢い!深い!
各章には、ちょっとした落語ミニ知識もあってそこも面白く、今年は寄席に絶対行こうと思うのでした。
ちなみに、この本、文京区図書館のほうでは、ただいま予約者10人。ほんの徒歩10分の隣の区なのに、読書の傾向随分違うんですねぇ...。そんなことを調べる私は暇ですねぇ...。