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ココロはいつも休暇中



ソビエト崩壊時にもアメリカの開戦時にも...。

ソビエト崩壊時にもアメリカの開戦時にも...。_f0108825_037182.jpgソ連崩壊前後、ロシアの特派員として深夜のテレビ・ニュースに毎夜登場していた”金平さん”の新刊を久しぶりに見つけた。(この”金平さん”という呼び方...日本にいるキャスターの筑紫哲也氏は毎夜、「金平さん。そちらの様子はどうですか?」みたいに言っていたことの影響が大きい。)

早速読みはじめる。

その後、一度帰国し日本でニュース番組を手がけたのち、同じ番組で今度は、「ワシントンの金平さん」をやっていたのが2005年まで。この本は、まだブログが一般的でなかったそのころ、”金平さん”によって、ブログのように毎日WEB上に記されていた「ワシントン特派員日記」だ。

子供の頃からあまりテレビを観ない私も、1989年から1991年あたりまではけっこうテレビっ子だった。きっかけは、'89年の11月に突如起こったベルリンの壁崩壊と、これを契機にしていっきに加速したかのようにみえた東欧革命。
そしてソ連崩壊。
それらの国際ニュースをただひたすらにテレビで追っていたからだ。
そのとき、ソ連/ロシアで何かが起これば金平さんは現地から事件をレポートしていた。当時はほとんど毎日顔を観ていたように思う。茶系のスーツにネクタイを、どうみてもいやいや締めてますといった感じで無造作にきめ、後ろに少しだけ残した髪を長く束ねて伸ばし、背後で事件が起こるロシアの街をマイクを持って駆け回っていた。ときどき、現地のふつうのひとの生活...みたいなものをレポートしていて、おかげで、当時のロシアを今も少しだけ詳しい。

このひとが派遣されるとそこで何かが起こる。
ワシントン・「ホワイトハウスから徒歩5分」の場所に勤務してからは、アメリカ・イラク戦争のニュース報道は、けっきょく金平さんから聞いた印象が強い。そのころしょっちゅうテレビで顔を見ていたように思う。

この本。
ことに、イラクに戦争を仕掛ける前後のアメリカのメディア統制の様子が、淡々と描かれていて興味深い。水の中の蛙が徐々に暖められ、熱湯になっても気づかず茹で上がってしまうかのように、少しずつ自由の国・アメリカが不自由で頑なな管理国家になってゆく様子。そして、それは今いる日本をアメリカを鏡にして、映して眺めているようにも見えて怖い。
金平さんは、「成田に帰国するたび、日本人が異邦人のようになってゆくと感じる」と書いていたが、その違和感、私は海外に出なくても日々強く感じるようになっているしね。

ちなみに、日々事件の多忙な中でも、たくさんの本を読み、街に出かけてクラシックもロックも楽しみ、映画も観る。それらが、日々の報道日誌の中にちりばめられ、派遣された場所と時期をちゃんとそのコミュニティの内側から記録する...リアリティのある記録になっていることも”金平さん”の著書の特長ではないかと思う。そこに記録された本、音楽、映画だけ拾って、読み手が再度トレースしても面白そう。そうすることで、当時を追体験する手段となりそうな感じもする。
by tao1007 | 2007-08-21 23:43 | 読書する
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