ある街の坂のふもとにある小さなギャラリーに立ち寄ると、へんてこな形の人形たちに迎えられた。子供のいたずら書き帖から抜け出してきたみたいな不思議な姿の彼らは、エッセリーニというイタリアからの「お客」だ。
「エッセリーニ」は18種類。でも買い手は自由に彼らを選べない。ギャラリーの中央にはタロットをするスペースが設けられていて、その1枚をひいて「私にいちばんぴったりなエッセリーニ」を教えてもらう。
そして出遭ったがコレだ。
「えー、こんな赤ん坊用の人形みたいなものが...」と正直ちょっとがっかりする私。だって、私の趣味と会わないんだもの。
でも、「これは“考えすぎの人へのエッセリーニ”なんですよ」と言われ気が変わった。
何でもかんでもあれこれ深く考えすぎるのは私の欠点だと時々思う。
形や色が自分の趣味に合わないと思うのは、自分に本当に必要なものは案外見えてないものだからと思って、連れ帰った。
一緒についてきたカードには「頭のごちゃごちゃを解決したいなら簡単だよ。考えなきゃいいのだ。」とあり、「このエッセリーニはあなたを解放してくれます」とあった。
ちなみに、先にひとつひとつ「彼ら」を眺めて、ちょっと気になっていたのはこっちだ。
「あー、こっちは“人生を変えるためのエッセリーニ”です。」とギャラリーのひと。ふたつ連れ帰っても大丈夫だということなので、実はちょっと高額だったがこちらの方も自宅へお連れした。
そのカードには「あなたはつい一人で何事もやってしまう人ではありませんか?」とあった。「このエッセリーニは、素敵なハプニングを持ち込んで、あなた本来の姿で人生を素直に歩めるように手助けしてくれます。」とある。
考えすぎない。
素直に起こったことに乗ってみる...。
これまでの人生で自分で憧れていていながらも、出来なかったことそのものだ。
「エッセリーニ」の「エッセリーニ」たる所以は、この不思議な形以外にもあって、体の中の心臓の位置にひとつと外にひとつ、小さな小石を持っている。
それはこんな風。
この外に出ている小石(=も心臓...だよね?)は持ち歩き用なのかしら...。
「エッセリーニ」はイタリア語で「存在する小さなもの」という意味を持つ。