えーっと、この本。
「もたない男」を「もてない男」と、頭の中で誤植して読んで、「何が?」と本屋で立ち読みして驚愕。
何にかって?
これですよ。この1ページ目を開いたところにある口絵写真。
なーんにも無い部屋。
で、押入れの中も...。
ほぼなーんにも無くて、入っているのは、備え付けてあってじゃまだったコンロとキッチンと部屋を隔てるふすま。ふすまは、冬場には寒さしのぎとして活用するってことで、コンロは引越しのとき現状維持がルールなので捨てられず、ここに収納されているんだそうです。
さて、この引越した直後みたいな部屋は、今もビックコミックスピリッツで連載中の漫画「じみへん」が生み出される仕事場なんだそうでして、その作者・山崎タツヤ氏こそが、その「もたない男」。
本書を、どんどん読み進めていけば、山崎氏は、今頃流行の断捨離修行をしたのでもなく、物欲主義におかされていないというわけでもなくて、かえって物欲はありすぎで、モノはけっこうよく購入している模様。
しかし、執着が無く...というより、気になりだすと好きで買ったはずのモノが邪魔で気になってしょうがなくなる。
つまり、山崎氏にあるのは、強い捨て欲。
まあ、その捨てっぷりのシュールさといったら、変に地味な笑いを纏わせたコマ送りの漫画「じみへん」そのものの世界観です。
で、最後まで読んで、「すてない男」というよりは、やっぱ「もてない男」が正しいジャンと。
いやいや、女性にもてないとかの意味ではなくて、ときかくこのヒト、ものを持っていられないみたい。
うーん、ココまで来るとうらやましいというより、ついてゆけない。
しかし、そのついてゆけない具合にややすがすがしさを感じ、いっきょに読みきってしまいました。
もちろん、著者に敬意を表し、この本は即古本屋さんに引き取っていただこうかと。いつまでも所有していると本がちょっとかわいそうかも。
なんか、そんな空気を纏った本なんですもの(笑)。