ココロはいつも休暇中



好きな作家が若くして...

f0108825_21533490.jpg「アメリカのパイを買って帰ろう―沖縄58号線の向こうへ」駒沢敏器 日本経済新聞出版社

この作家が、沖縄を語るその切り口は、素朴な「アップルパイ」や、「SPAMの缶詰」。あるいは、沖縄の街に点在する「コンクリートブロックを積み重ねた家」とか、アメリカと沖縄がミクスチャされた「ロック」とそれを流し続けた「ラジオ局」...そんなものたちだったりするのが面白い。

かつて、琉球王国という独立国家であった沖縄は、江戸時代には薩摩藩と中国に干渉を受け、やがて日本→アメリカ→日本と支配の主体が変わり、翻弄された。いや、今も、基地問題などのニュースを見聞きするかぎりは、日本とアメリカの狭間にあって翻弄され続けているのは明らかだけれど、一方、沖縄の人たちのしなやかな強さと優しさ、そして大きな抱擁能力を多くの日本人は知らないかもしれない。
その、強さ、優しさ、包容力を象徴するのが、先の「アップルパイ」「SPAMの缶詰」...だったりもして、それは、被支配されて押し付けられた他国の文化に抗うことなく、とりあえず受け入れて、結局、新しい文化を創ってしまおうとする...そんなチカラ。そしてそれは、遠いDNA同士が結ばれて、かえって優秀なDNAに昇華するハーフの子たちの才能容姿にも似て、優れて面白い文化のカタチを作って見せた。

たとえば、”そこは、日本のひとつの県で、年中暖かい楽園のような場所”...という単純なイメージで沖縄を語ろうとするならば、沖縄のよさをすべて打ち捨てているにすぎない。
...そんな真実に気づかされる本。

この作家の描くことといったら、そんな厚くも無い本だというのに、相変わらず密度が濃い。読み手のほうに絶対的な時間が無い限り、本当の意味でこの本を読み楽しむことはできないと思う。
だから、今回も一章ずつゆっくりと時間をかけて読み始めたのが、3月の上旬。そこに、まだ50歳そこそこの若い作家の訃報を聞いて、少なからずショックを受けて、頓挫して、また読み始め...作家の死を思いつつ、さらにゆっくり活字をたどることになった。

この作家のことは昔から好きで、だから、細切れの時間のなかで急いて読み解くには向かない本だとも知っていた。本格的に著作を読み始めたのは会社を辞めて、時間がたっぷり手に入った4年前から。著作はそう多くは無くて、この本が出版されているものの最後だなぁと慈しむように手にとって読み始めたら、その作家自身が向こうの世界へ逝ってしまった。

本来なら書店でも追悼コーナーができてるはずと思いつつ、1ヶ月が過ぎてもみかけることがないのはなんで?私の単なる見過ごしなのか、それとも、作家の死が事件性をはらむものだったからなのか。
っーことで、駒沢敏器さんの著作を以下にまとめてみたりして。
他に共著のエッセイや翻訳などもあるにはあるがここは純粋な個人の著作のみにて。個人的にはすべておすすめ。

「地球を抱いて眠る」小学館文庫
「語るに足る、ささやかな人生」小学館文庫
「街を離れて森のなかへ」新潮社
「夜はもう明けている」角川書店
「ミシシッピは月まで狂っている」講談社
「伝説のハワイ」東京書籍


ああ、やっぱり少ないなぁ...もっと、もっと読みたかったと、心底そう思います。
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by tao1007 | 2012-04-04 17:09 | 読書する
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