ココロはいつも休暇中



強い味方と大きな宿題

f0108825_22372487.jpg「僕は、そして僕たちはどう生きるか」梨木香歩 理論社

木々があり、様々な野草が育ち、蛙や虫や...まるで里山のような場所。
そこに、農家の屋敷...ともおもえる民家があって、住んでいるのは、中学生の途中から不登校になった少年ユージンがひとり。
物語の語り手は、そのもと同級生にして幼馴染のコペル少年14歳。
そこに、飄々として、しかし、思慮深くもあるコペルのノボ叔父さんとか、ユージンのいとこのショウコ、オーストラリア人のマークとか。
あえていってみれば、今の世の中で、群れて生きるのが難しそうな、キャラクターが集う。...鈍感でいられないひとたちとでもいったらいいだろうか。

彼らが、草木染の蓬を摘んで、葉っぱご飯用のウコギを摘んで、ついでにスベリヒユまで摘んで油いため...なんて、もうかなり個人的にも惹かれる素敵なひととときをすごし。
しかし、そこで巻き起こり語られるのは、重い人生の話だ。
たとえば、戦争とかファシズムとか。性とか命。環境問題。

戦時中から今に至るまでの日本社会が抱え、解決できない多くの問題が、ひとつの連続した物語として語られていて、途中、深く思考に沈む。
これらは、私たちひとりひとりに課せられた大きな宿題みたいなものだ...と思う。

たとえば、大多数のため=つまり「普通」という抽象的で、実はよくよく考えてみれば実態のない理由のために、犠牲にされ続ける、たったひとりの自分のココロ。
一人では生きられない人間が、しかし、群れる中でも正気=自分の考えや気持ちに正直に生きるということ。
読みすすむうち、どんどん思考がアトランダムになってゆき、まとまりを欠いてゆく。

この物語に書かれていることは、それだけ大きく、いつもココロの片隅に潜み、気になりながらも先延ばしにしてきたことだから、こんな大人になってもはっきり答えがでないのか...と気づいて途方にも暮れた。

それでも、最後まで読んで、そのもやもやを物語から受け取り、しばし反芻し続けようかと本をことさら丁寧に閉じてみる。

そして、また、やおら表紙を開いてみたら、扉に短い言葉があった。

「群れが大きく激しく動く
その一瞬前にも
自分を保っているために」

自分を保つ...これは、大きな宿題であるとともに、社会の群れの中で生きる強い味方となる言葉でもある。
そのためには...。

しばらく、思考がつづきそうです。
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by tao1007 | 2012-01-30 22:34 | 読書する
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