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小暮荘はぼろアパートなれど...

小暮荘はぼろアパートなれど..._f0108825_10274116.jpg「木暮荘物語」三浦しをん 祥伝社

なんかかなりご無沙汰な感じの三浦しをん作品。
それでも、古いボロイ家が、物語の舞台なのは相変わらずだなぁ...と思う。
夢中になって読んだ「風が強く吹いてくる」も、天井が抜けるかのふるい学生寮が舞台だったし、直木賞を取った「まほろ駅前多田便利軒」もその多田便利軒という店が古い感じだったと思う。
あとは...あれれ、そんなもんだったかしら?
じゃあ、ぼろや三部作?いや、もう少しあったような気もするし、おもえば、まだ全作品を読みきったわけでもないので、そのようなカテゴリィに入れちゃうのはご法度かしら?


でも、好きなんですよね。
古い家とかアパートとかも、それを舞台に繰り広がるしをんワールドも。

小暮荘は、小田急線・世田谷代田駅から徒歩5分にある、築...たぶん、さまざまな描写から30年はいってるだろう全6室のぼろアパートで、住人は、よこしまでちょっと切なく笑える目的でもってそこに居をかまえる70代の大家+20代の若い店子が3人+大家の飼い犬のジョン。
この犬の名前がジョン...っていまどきなさそうなのもいい感じだねぇ...。などと、まずはかなり主題からはずれたところに感心し楽しむ。
ストーリーは、この4人と彼らの関係者たちで織り成す日常の話なんですが、書き手が三浦しをんさんなんで、そう普通には展開しない。
ややサイキック、やや神がかり、やや妄想、やや犯罪...みたいな、ありそうでなさそうな不思議なエピソードをエッセンスに短い物語が展開し、それぞれの物語の主人公が、ほんの少し、ささやかな救いを得てしずかに終わり、そして、次なる住人の物語へとつながってゆく。

私もそんなアパートだけ点々と引っ越して、ずいぶん木暮荘風のアパートに住まったけれど、そんなステキなことはなかったよなぁ。
と、読書途中で顔を上げしばし過去を振り返る。
いやいや、あったかも。
あれとか、これとか、あんなこととか。平凡すぎて忘れていたけど、あれらは、小暮荘の物語と根っこはおなじか...などとひとり勝手に納得。
そして、安普請であるアパートにどこからともなく聞こえてくる生活の音があったなぁと懐かしく思いだし、ココロが少し暖かくなって最終ページをゆっくりと閉じる。
小暮荘をとりまく人々の救いの話をそれぞれ読んで、自分もそこの住人になって癒されたような、そんな気分になる物語です。
by tao1007 | 2011-09-09 10:24 | 読書する
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by tao1007
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