地震直後からのTVの見すぎのために、どうも夜更かし癖が付いてしまった。
普通10時になればどうしようもなく眠たくなるはずなのに、まったく眠くならずに12時すぎまでだらだらと...。
その調子で、夜寝る前に長編小説など読みはじめた日には、最後まで...となる不安もあるので、近頃の寝しなの読書は、もっぱら短編集。
本棚をごそごそ探して、見つけてきた、今日の本は、寺田寅彦センセの「柿の種」だ。
これは、俳句雑誌「渋柿」の巻頭ページに乗せるために書かれた、センセイ曰く「即興的漫筆」集。なので、1文、文庫の2ページ完結で、これは寝不足にならずにすむわい...というのが選択理由なんですが、そう思った私がそーとーに甘かった。
なんかいちいち面白く、もう一文読んだらやめよう、いやもうひとつと、自分の欲望と格闘しているうちに、結局午前1時とか。
もうやめられないとまらない。
つまり、タイトルの「柿の種」ってそうゆうことなんでしょうか?
元祖・浪花屋製菓のあられ「柿の種」は、大正13年から販売。寺田寅彦の柿の種の第一作は大正9年だから違うか...。
いやいや、この「即興的漫筆」をまとめ、『柿の種』というタイトルをつけて出版されたのは、昭和8年。
うーん、やっぱそんな意図ありまくりの怪しさ100%ですが真相は知れず。
っーか、またそんなくだらないことを考えてたら眠れないじゃない。
そうこうしているうちに、寺田センセの筆は、大正12年の11月のあたりのお話。関東大震災に見舞われた当時を、短いながらも科学者と芸術家の二つの視点とココロで書き描く。
...ああ、そうなんだと、軽い驚き。
ふとここでなぜだか、解説はどなたが書かれただろうと気になって、巻末を見る。
解説者は、宇宙に関して膨大な著作をお持ちの科学者池内了氏で、最巻末に、「1996年1月17日 阪神淡路大震災の一周年の日に」とあって、またもびっくり。
それを、今読む意味は偶然とも思えなくなって、とりあえず、書を閉じる。
そして、「明日きちんと読もう」とやっと眠りについたしだい。