「茨木 のり子の家」筑摩書房
書店で何回も何回も手にとっているうちに、家にあるつもりの本になって、書棚を探した。
そうか、まだ買っていないんだと気づいて、コートを着込み、財布だけもって書店へ急ぐ。
そうとう発作的に読みたく...というより眺めたくなる本。
美しい装丁と美しい写真。
詩人、茨木のり子さんが晩年暮らした家の記録と、ときどき挟み込まれた詩が絶妙な間合いで、居心地がいい。
いや、読み心地がいいというべきかしら、この場合。
私は、電子書籍が出てこようと紙の本はなくならない派であって、かえって美しい本しか残らないから、いいじゃないかと思っている。
というより、そうゆう本が増える可能性すらもあるはずだ...と、こんな本に出会うと確信するのだ。
仮に、そんな美しい本だらけの時代がきたら、書店や古書店は、もうそれこそ桃源郷のように居心地のいい場所になるのではないか。
そこを、そのまま茨木のり子さんの家と似たようなもののように妄想してみたりする。