ココロはいつも休暇中



貴方は、どからやってきた魚?

f0108825_9565267.jpgアーサー・ビナード氏の生まれはアメリカ合衆国・ミシガン州。ピカピカのアメリカ英語ネイディブの彼は、かつて「日本語で詩を書く生っ粋のアメリカ人」詩人と紹介されて、引っ掛かりを覚えた。
『生っ粋のと言われれば、例えばコロラド州に住む友人ロンを変わりに推薦したくなる。彼は完璧にスー族の出自。』と思いつつ『あげ足とるのもなんだしな』と、その引っ掛かりをココロにしまう。
そのアーサー氏、八分の五がフランス系、八分の一がイギリス系で、残りがアイリッシュ...と、出自はヨーロッパ雑種系。生真面目に言えば、生粋のアメリカ人とはいわないだろう。
だからか、20歳でヨーロッパへ渡り、まず、ミラノでイタリア語を習得した。...というのは何となくわかる。
が、その後、大学にもどり英米文学専攻中に、なぜか日本語に出会ってしまい。表意文字に魅了されたという理由で、23歳で来日。そして、いきなり日本語で詩作をはじめた。
活字のこっちにいる読者としては、「不思議な何かに導かれましたか?」と、つい余計な口を挟みたくなる脈略のなさだ(笑)。

母国語以外で文学をものすのは、ただ語学に堪能というだけでなく、異文化のハードル越えてしまえる軽やかさが必要と思うが、アーサー氏、著作の限りでは、知恵とか広い視野とかのほかにも、”なぜかいつも好奇心が先に立つちゃう”とか、”絶対的に楽天家”だとか...密かな飛び道具を多数持つ。そして、その「稀有なまでの軽やかさ」でもって、来日10年目で、中原中也賞を受賞してしまった。
さらにその後、講談社エッセイ賞受賞やら、日本絵本賞受賞、山本健吉文学賞受賞など”日本語で書くのが絶対条件”の権威ある文学賞を総なめ。
ここまでくれば、快挙!と暢気に感心するばかりではいられない、何か絶対的に、その異文化・日本と「縁」ある者と思えてしまうじゃないか。

外国の方が長く日本に滞在し、外からの視点でもって、愛と厳しさをこめて日本の文化を描く話...というのが私は好きで、「外からみればなるほどそうか?」という学びとか新鮮さに通常ワクワク...というのがその理由。
しかし、このエッセイに描かれた話の印象はそこからちょっと外れる。
しいて言えば「懐かしさ」だろうか。日本人である私の「懐かしい」というキモチにヒカリを当てられキラキラと心地いいといった感じが近い。
アーサー氏は外国人なら苦手では?とされる、言葉の行間とかその場の空気も...たぶんきちんと掬って、日本人にはあたりまえすぎてかえって上手く表現できないことをたくみに描く。だから、よく知っているはずの私たちの平凡な日常が、煌くように楽しい日々として描れ立ち上がる。

表題作「空からやってきた魚」のなかで、卵の状態で鳥に運ばれ、糞とともに天から降って、見知らぬ池で育つ魚が居る...とういうエピソードがあった。それは、「何故自分は日本に着たのか?」を漠と考える話であって、『(空から降ってきた)魚にとっての(運びやである)水鳥のような「なぜ」もまたあるのだろう。』と続き、『...本人に悟られないままに』と結ばれている。

ああ、貴方もやっぱり「縁」を感じているのだ...本に向かってとひとりごつ。ついで、それは、前世からの縁であって...と、読み手の日本人は無責任に妄想したり。
興味のカタチが、なーんとなく伊達や酔狂のアーサー氏。
日本人なら、遠く江戸人あたりが似つかわしいかなと思いますよ...と。たどり着き、何の根拠も無いけど、その不思議に懐かしい意味を理解する。

しばし、このひとの著作に嵌りそうです。
[PR]
by tao1007 | 2009-02-04 09:41 | 読書する
<< 月はどっちに出ている? 冬と春の境目をテコにココロの栓... >>


カラダもココロも休暇中
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
カテゴリ
お気に入りブログ
以前の記事
メモ帳
最新のトラックバック
大鳥信仰
from いかさま堺
コムデギャルソン財布
from 財布専科【ブランド財布 長財..
1月24日の朝ご飯(おでん)
from 【ブログ-24日】我が家の朝..
紅白歌合戦 出場歌手が決定!
from 紅白歌合戦 出場歌手
園芸少年 魚住直子
from 粋な提案
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧