「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海 ダイヤモンド社
ある昼下がり、秋葉原のとある本屋。
立ち読みをする私の横でプチくりひろがった、こ洒落たいまどきの(たぶん)大学生男子の会話。
男子A「このおじいちゃんの本、読んだことある?」
男子B「だれ、このおじいちゃん」
A「いや、マネージメントに関して有名なおじいちゃんでさ、云々かんぬん...らしいんだよねぇ」
ここで、立ち読み本を見るふりをしつつ、男子たちの指し示す本を盗み見をする。
と、もちろん、そこには(おそらく)今をときめくピーター・F・ドラッカーの『マネジメント <エッセンシャル版>』があった。
まあ、そうだよね。
確かに表紙で腕組みして写っているドラッカーの写真は、まあ、おじいちゃんだ。
B「ああ、これって、どちらかというとこっちのほうが有名じゃん!知ってる知ってる」
明らかに興味がなさそうだった男子Bが突如「知ってる」連呼をしたのは、『マネジメント <エッセンシャル版>』に掛かる帯。そこには、萌系イラストによる女子高生キャラがいて「みなみちゃんが読んでいたのはこの本です」...とかなんとか。
B「で、お前はよんだの」
A「いや、評判いいらしくてさ...。でもまあ、やっぱ、どちらかというとこっちが有名だよねぇ。それも読んでないけど」
「その有名なほうの本なら、私は今日読み終えました。」と、突然そこで介入したらどんな風な展開が待ってるかしら?と思いつつ、あまり面白いことにならなさそうなので止めてみる。
...っうか、面白くなりそうだったらやるのか、私?
帯に描いてたイラストこそは、この「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、通称「もしドラ」の主人公みなみちゃんのことで、このブログの本の表紙にもあるセーラー服の女の子のイラスト。
それが、経営学の古典とも言われるお堅い本の帯にいる...このミスマッチ。本を読む前は、便乗販売しているなぁと思ってはおりました。
が、この萌系で装った本、もう夢中になって読みすすみ、かなり感動、時々うるっとなるほど面白かった。
...もう出版されてからずいぶんたつし、NHKではアニメに、AKBの前田敦子をみなみ役に映画化までされた評判の本なので、いまさらなんですけどね。
で、うるっとする要素は、ポテンシャルはあるはずの弱小高校野球部が、的確なマネジメントで、どんどん変化をとげて、甲子園出場を決めてしまう...というところにまずあって、しかし、それは感動の物語で終わることなく、その変化の過程のいちいちが、今の世の中にあるすべての組織に当てはめられるリアリティを持ち合わせている。
...ってことと思う。
だから、さらに、本物のドラッカーの本も読みたくなって、読了したあとなら、その出版社の気持ちも分かるなあ...と。
つまり、便乗であろうと、こうされれば、探しやすいからいいじゃないってことです。
そして、実際、私の手元にも、そのドラッカーのエッセンシャル版(笑)。もちろん「もしドラ」効果ですし、その出版社のやり方にややほだされました。
で、そちらも、今、少しだけ読んで、「もしドラ」で予習したことを噛みしめて、これは、すべての基本だなぁ...と。
会社員時代、リーダーとかマネジメントをテーマにしたセミナーやら研修やらを受ける機会はあったけど、そこには、一切のリアリティが無かった疑問と、この本には、きわめてはっきりとしたリアリティがある不思議。
なんだって、あの時々に、ドラッカーの「ド」の字も出てこなかったんだろうか。
...昔のことは、まあいいか。
ともかく、これから何かを前へ進めるときに、ひとつの指針というか羅針盤というかを得た思い。
いまどき大学生男子くんたちも、是非とも読んでみたらいいのになぁ...と。
もちろん「もしドラ」で予習→ほんものの「マネジメント」の順でオッケーと思いますよ。
そのほうが楽しいです。