谷中の桜もすっかり葉っぱを落とし、本格的な冬に入りました。きれいに掃き清められて落ち葉もない。
桜の樹というのは、こうしてしみじみ眺めると不思議な形ですね。四方にかってに枝を伸ばし、となりの枝と絡み合い...前衛舞踏の群舞のワンシーンのような感じに見えてきましたが、どうでしょうか?
1年前の冬。
桜の定点観測はここからスタートしましたから、この枝ばかりの桜並木を眺めていたはずです。
でも、当時の私には、桜並木は桜並木...でしかなく、人間はこんな風にちょっとだけ変化します。
そして、さらに淡々と続けていくと、ある日、ぽーんと思いがけないところにたどり着く...そんなことってありますよね。
ともかく、桜に限らず、この界隈に限って言えば、近頃の私、何を見ても見た数だけ発見があって面白い。
もちろん、まだまだ、「何かがやっと見えてきた感じ」でしかありません。でも、いつかその先に、「ぽーんと思いがけないところ」にたどり着く予感は...あるのです。
「ポイントだけ、コツだけ掴んで」とか、「一足とび」「飛び級」「一刻も早く」のようなことでは、絶対手に入らないものが確実にあって、そして、私が欲しいものは、そうゆうもの。時間と根気を要しますが...。
さて、桜の枝には、すでに小さな蕾が付いていて、ギュッと硬く小さく縮まって冬の寒さを絶えながら、でも、とてつもない大きな夢をはらんでいるかのようです。
一昨年の不忍の池の蓮も面白かったけれど、この桜もなかなかに趣深い。
毎年同じサイクルで変化する「植物」を、辛抱強く観察するという「私的な遊び」は、思いもかけず、今は小さくても未来に大きく開く変化を運んできてくれるようです。
さて、来年は何を観察させていただきましょうか?