ご近所の古い家で、近頃いちばん好きなのはこの家だ。いや、好きというより、この家の佇まいに憧れていると言ったほうが正しい。
家は、ゆるやかな坂道に面していて、この家の前を通るときは、単なる通りすがりのひとを装いながらも、私の目は観察を欠かさない。
いつもデジカメで撮影しときたい。
...と思うものの、何か失礼な感じもしてなかなかトライできず。
しかし、何故か今日は遠慮がちにではあるが、シャッターを押してしまった。どきどきしたよ。
玄関付近を飾っている植木や雰囲気ある枯れ枝もなかなかに計算された配置だし、よく見れば、向かって右下の植え込みに新しくオブジェのようなものも出現している。
ともかく、この玄関を見ただけでも、そこには、住むひとの洗練と哲学のようなものもそこはかとなく感じられてならないのだが、どうか?
うーん。やっぱり、この写真ではその真実を写し取ってないな...被写体の存在感に負けてますね。ああ...。
いつも横目でチラッと眺める表札は木製の手作り。チラッと見ても、はっきり「マチダ」と読める。
今日、坂をゆるゆる登って、この家の前に差し掛かる寸前、カラカラと扉を閉める音がした。うーん、惜しい!ちょっと早ければお会いできたかもしれかったぁ...。
「マチダさんはどんなひとなのか?」と、いつもあれこれ想像するが、想像力も乏しくて思いつかない。でも、ひっそりおひとり暮らしな感じもするし、にしては、この潔い感じ...迷いのない、すっきり生きるオトナだとは、思うのよね。