って、ブルースがどんなものかよく理解もせず、このブログタイトルを書いてるかもしれませんが...。
でも、これは、辛さのなかにある、優しさ穏やかさといったイメージをまとうかのような物語。
なので、ああ、そんなつもりでこのタイトルなのかなぁ...と。
「東京バンドワゴン」シリーズで人気の作家・小路幸也の、ちょっと違った面も垣間見られる話。
実は、数ページ読んで、「あれれ?これって1度読んでる!!」と気が付いたものの、ふと、過去に読了した時の心地よさを思い出して、結局再読。
古本とはいえ、買ってしまった本だしねぇ...。
っうことは、我が家のカオスとなっている書棚のどこかにもう一冊あるんだろうか?
...うーん。まあいっか。
で、「ちょっと違った面」とはいったものの、これも小路幸也氏が得意とするところの「死人の出ない日常ミステリーワールド」。
私がこの作家を好きなもっとも大きなポイントだ。
そして、自宅を改装して作った喫茶店という興味そそられまくりのメイン舞台。しかも、それが、千住という古い街のどこかにひっそりとあるんだとか。
そこも惹かれる点である。
さらには、その店のオーナーである、きゃしゃで繊細な主人公(男性)と、従業員である元女子プロレスラーの丹下さんの頼もしさ、そこに寡黙で優秀な刑事という下宿人...という組み合わせも、不思議な魅力を醸している。
そして事件は、急にいなくなった姉を探して欲しいと、小学生の少女から依頼されたことに発し、過去に主人公が巻き込まれた事件の加害者が、刑務所から出所してくることから始まる不穏な空気と緩やかに交わってゆく。
全編通じて、伏線の貼り方と、エンディングまでの間にそれを拾うやり方も絶妙なんである。
エンディングに近づくにしたがって、日常に起こるささいな事件然としたものの裏に、警察権力の「正義と勘違いした悪巧」みたいなもの関わっていて...。
やっぱ、内容じたいは、「東京バンドワゴン」と比べて、少し辛口。
うーん。
ミステリーテイストの物語を2度目...なのに、楽しめました。
いや、筋を知っているからこそ、もっと深く堪能できたといったほうがいいしら?
実は、上質なミステリーってのは、こんな風に何回も読んで熟成させるものなのかもしれませんね。
これは、まさにそうゆう読み方に似つかわしい物語。
長く多くのヒトに聞き継がれているブルースのごとくです、やっぱり。