「ドールズ 闇から招く声」高橋克彦 角川文庫
台風の日から読み始めた高橋克彦のドールズシリーズもあっという間に3冊読了。
もっと、味わってよめよなぁ...って速さでした。
シリーズ1は、七歳の少女に江戸文化文政期の人形氏泉目吉が転生したその成り行きみたいなものが描かれて、シリーズ2は、少女の中に宿りながら、目吉が、さまざまな事件を解決してゆく連作短編。
そして一転、この「闇から招く声」は、大長編&本格派ホラー小説なのでした。
残虐なシーンもことのほか多く、かなり私好みじゃないはずのこの物語を、なぜゆえこんなに夢中になって読み進んだのか...。
読了後にボーっとしながら、反芻など。
答えは、江戸弁ですね。
泉目吉は、江戸人の年配者ですから、会話する言葉は、軽妙な江戸弁。
警察のことをお上、刑事らを役人ども、妙齢の女性をあねさん、もっと上はお上さんという言い換えが私的には面白く。
「お若ぇの、これで得心いきやしたかい」なんて言い方にぐっと来る。
しかも、頭の中で人物像を想像しながら読み進めば、そんな江戸言葉を、現代の7歳の少女の口から発せられるというのもなかなかに新鮮。
しかも、この目吉さんは、なかなか人物ができた人であるうえに、名探偵さながらの推理。
それも、ぜーんぶ江戸弁で語られるわけです。
ああ、いいねぇ。懐かしさすら感じますよ。
もしや、私も前世は江戸にいたんでしょうかね。現世は東北出身者ですけどね。