「村上春樹にご用心」内田樹 アルテスパブリッシング
2007年刊の頃から気になっていて、何故か今ごろ読んでみて、そして、今ごろ、うーむなかなかと感心してみる。
特に、ほーっと思ったのは、各書評家の方たちが、お約束のようにやってしまう村上春樹批判。その行為がなぜなのかについてなどの分析は秀逸で、思わずひざを打ちつつうなる。
いやいや、弁説さわやか過ぎて、ついつい乗せられているだけなのかもしれませんが...。
内田樹さんのものの見方。
ブログも時々拝読させていただくけれど、ぼんやりピントが合わなかったもののピントを合わせ、しかし、見えてきたものの真実はなかなかに厳しい。
たとえば、まだ治りがけのかさぶたをバシッと剥いてしまうような、爽快感はあるけれど、後悔もあるといった感じ。...うーむ、ちょっと例えがせこすぎますか。
いやいや、後悔というより、厳しい決意を強いられるってことなんですけどね。
これを知ったら、もはやぼやぼやしてはいられませんよと思い知らされてしまう...みたいなこと。
いや、本書ではなく、むしろ、最近のブログのほうのお話。
で、本書にもどれば、「村上春樹にご用心する」のは、アフターダークまでとやや古く、たとえば先ごろ大ヒットの「1Q84」を内田さんは、どう読むだろうか、ぜひ知りたいなぁ...と。
性懲りもせず、読後そんなことをぼんやり考えていましたら、なんと、すでに「もういちど、村上春樹にご用心」が出てました。
ああ侮れないお方。どちらかといえば、内田樹にご用心って感じですね。