所要があって、いつもの東北の街へ帰省。
夏も近づく八十八夜の直前は、界隈で「山王様」と御呼びして親しんでいる神社のお祭にて、例年いつも静かな街が賑々しい。
実家も「山王様」の氏子となっていて、町会からなぜか回覧板のように今年の御札が回ってきて、それはちょっとおかしい(笑)。
ということで、今年も、さっそく出かけてみることにした。
森の中に白い幟がはためいて清々しい。
もうこれは夏の祭りなんだねぇ、などとしみじみ眺めて見れば...。
その天辺に檜が飾られている。これは初めて見たような...。
が、聞けば、今は住宅が密集する神社の周囲。そのあたりが全部田圃だった頃、いやいや、それよりずっと昔からこんな風に飾り付けているとのこと。
ふーむ、そうなんだ。けっこう、GWに帰省するたびここにはお参りしていたもんですが、とんと気がつきませんでした。
さて、鳥居をくぐって、まずはお清め、と手水舎に向かう。こんどは、こんな風に枝葉が浮かべられ...榊の葉でしょうか?美しい。
これも、もちろん、私だけが気づかなかっただけで、ずっと前からこうあった...とか。
うーん。住まい近くの谷根千ならば、じっくりまじめに観察などして、ブログにも書いたりしているくせに、こちらはなんだか身近すぎて、よくよく眺めたことなかったかもなぁ...。
お祭りの日は、お社の扉も取り払われ、風通しがよく。
この光景だけはなじみのもので、ちょっとホッとしたりして(笑)。
「山王様」のお祭りには、いわゆるよくある屋台のほかに、植木や種、農具の市が立ち、その数たるや半端じゃない多さ。
かつてはあたり一面田畑だったこの界隈。もちろん、他と同様に、後継者不足は深刻な問題ではあるようですが、りんごや桃、田圃も世話する農家がまだまだ数多く。そんな農家の人々にとって、八十八夜は種まきの季節。
これは、本格的な仕事はじめのお祭りでもある。
さらに、来るべき夏。殺菌作用のある檜を飾り、水あたり除けとか虫除けとかもカミサマにお願いしているのかもしれないですね。
祭りを訪ねるたびたびに、昔のヒトは自然との寄り添い方をほんとによく知っていたものだと...感心することしきり。せわしなさから距離を置く今だから、やっと私にもその営みに気づけるようになったのかな...などとと思ってみたりする。