これだけご近所限定でウロウロしているにも関わらず、時々「お前の目は節穴か?!」という発見に出くわすときがある。
例えば、もう随分前からありそうな、こんな古いコンクリートの建物を見過ごしていたり...。
道路と道路の間ワンブロックの広い土地いっぱいに立てられた大きな3階立ての建物、屋上もあります。空き家かな、と思ったら、その屋上では、洗濯物が風に吹かれていました。
建物の表側に回れば、大きな木立に隠れるように看板がひとつ。「...機材」と見えますが、頭の文字は葉っぱに隠れてわかりません。看板と並んで銭湯にあるような大きな煙突まで。
以前は工場兼事務所だったのか、それとも、この煙突は従業員用の風呂用...だったりもして?まさか。
今は、たぶん何も営まれていないような感じですが...詳しいことは、わかりません。
しかし、どなたかお住まいのようで、その住人たちが日々ひとしれず面白いドラマをつむぎつづけているかのような建物の佇まい。
しばし、不審人物のように建物の周囲を行ったりきたり。いったいどんな面白い物語があるのかしら?などと、徐々に妄想状態に突入し...。
例えば、屋上に上がる近くの部屋に住んで、写真の蔦もからまる裏手の倉庫...みたいな場所で古道具屋を営む寡黙なオトコ。彼を主人公に界隈のゆっくりした時間の流れが描き出されるお話。
...なあんてね。
ヒビの入った窓ガラス、朽ち果てたリヤカーが一台、郵便受けも雨に晒されいい感じにけぶった赤色になって並んでいたり、鉄製の階段は錆びて茶色のグラデーションを描く。
古く時間を経てきたものは、様々な隙間やゆがみに物語をためて、それが読み取られるのをじっと待っているかのようです。
どうぞここまで再開発の手が入りませんように...。いえ、その前に、一瞬だけ姿を現した幻なんかじゃありませんよう。などと祈ってみたりします。